相続開始後の寄与行為は、遺産分割で寄与分として評価されるか

【質問】

父が死亡しました。相続人は、長男である私と、弟の二人です。

父は土地をいくつか所有していましたが、そのうちの一つには借地権が設定されていました。

まだ遺産分割協議の途中ですが、その間、父の死後に私が借地人と交渉して借地契約を解消し、更地にしました。そのことで、その遺産の土地の価値はかなり上がりました。

この私の行為で遺産の価値が増加したと言えますから、寄与分として遺産分割で主張したいと考えています。

これは可能でしょうか。

【説明】

遺産分割における「寄与分」とは、被相続人の生前において、被相続人の財産の維持又は増加に貢献した者がいる場合、それを遺産分割において考慮する、というものです。

本件では、被相続人の「死後」の相続人の行為により遺産が増加したという点で特殊であり、このような死後の寄与行為が寄与分として評価されるのか、という点が問題となります。

この点について判断したのが、東京高等裁判所昭和57年3月16日決定です。

死後の寄与行為について、東京高裁は、遺産分割では評価されず、あくまでも相続開始時を基準としてこれを考慮すべき、と判断しています。

その理由としては、以下のように述べています。

「いわゆる寄与分とは、共同相続人の一部の者が被相続人の財産の維持又は増加に対し通常の程度を超えて寄与した場合に、遺産分割に際し、相続開始時における具体的相続分を算定するにあたり、共同相続人間の衡平を図る見地から、特別受益と同様に、その寄与を評価すべきものとされるものにほかならないから、相続開始時を基準としてこれを考慮すべきであつて、相続開始後に相続財産を維持又は増加させたことに対する貢献は寄与分として評価すべきものではないと解すべき」

「被相続人の死後の相続財産の管理のために現実に要した費用は、遺産分割に際してあわせて清算されるとしても、管理により増加させた相続財産の価値については、相続財産に関する費用に準じて、分割時にこれを清算すべきであるとする法的根拠を見出すこともできない。

以上の通り、被相続人の死後の行為については寄与分として評価することは出来ず、相続開始後の行為については、あくまでも相続財産の管理費用についてのみ考慮できるということになります。


2018年12月20日更新