親の死後に遺産の建物に住み続ける相続人に対し、他の相続人から賃料請求ができるか?

Q 父が死亡しました。

相続人は私と姉の二人だけですが、遺産分割の話合いがなかなか進まず、父が亡くなってから既に3年以上経過しています。

姉は、父が生きていた時から、父の自宅で父と同居しており、父が亡くなった後も姉は父の自宅に一人で住み続けています。

私の相続分は、父の自宅についても2分の1になるはずですが、遺産分割がまとまらない間も姉は遺産である父の自宅に無償で住み続けており、このままでは、年が経てば経つほど姉だけが得して不公平だと思います。

今後、いつ遺産分割がまとまるかもわかりませんので、姉に対して父の自宅に住んでいることについて賃料相当額(の半額)の請求をしたいと思っているのですが、これは認められるのでしょうか。

A 遺産分割協議が確定するまでの間は、賃料相当額の請求はできません。

相続による権利等の承継は、被相続人が亡くなった時点で発生します。

したがって、被相続人が亡くなった時点で、その遺産は、法律上は相続人に引き継がれて相続人全員の共有状態となります。

本件では、父の自宅も、父が亡くなった時点で子ども二人2分の1ずつの共有となります。

そうであるとすれば、父の自宅については父の死亡後から弟も2分の1の権利を持っていますので、2分の1については姉に対して「貸している」状態になり、従って、家賃の2分の1について請求できるようにも思われます。

しかし、このようなケースにおいて、最高裁判所平成8年12月17日判決は、

「遺産分割協議が成立するまでの間は、姉は無償で住むことができる」

と判断しています。

その理由について最高裁判所は

「被相続人と同居の相続人の間において、被相続人死亡後、遺産分割で建物の所有関係が確定するまでの間は、引き続き同居の相続人に建物を無償で使用させる旨の合意があったものと推認し、被相続人死亡後は、その他の相続人を貸主、同居の相続人を借主とする使用貸借関係が存在する

と述べています。

したがって、遺産分割協議が長引いたとしても、それが終了するまでは同居していた相続人は無償で遺産の不動産に居住を続けることができます。


2015年11月30日更新