弁護士コラム

相続で共有となっている不動産を分けるために取るべき手段は何か

2018.10.24

【質問】

私の弟が亡くなりました。

弟は生涯独身だったため、相続人は我々兄弟姉妹になるのですが、兄弟姉妹は10人ほどおり、またすでに亡くなっている者もいて代襲相続も発生しています。そのため、相続人は10人を超える人数になっており、また、長年連絡をとっていない者も数人います。

 

弟は不動産を遺して亡くなったのですが、空き家状態が続いているので早く処分しなければならないと考えています。

どのような手段を取るべきなのでしょうか。

【説明】

複数人で共有となっている不動産の共同所有関係の解消方法について、民法は、

1 共有物分割訴訟(民法二五八条一項)

2 遺産分割審判(同法九〇七条二項、家事事件手続法別表第2)

の2つの手段を規定しています。

両者の関係は必ずしも条文上明らかではないため、本件のような場合に、共有物分割請求訴訟をするか、遺産分割調停・審判をやるか、どちらかを選択的に選べるようにも考えられるため、その適否が問題となっていました。

この点について、判断したのが最高裁判所昭和62年9月4日判決です。

判例では

「遺産相続により相続人の共有となつた財産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家事審判法の定めるところに従い、家庭裁判所が審判によつてこれを定めるべきものであり、通常裁判所が判決手続で判定すべきものではないと解するのが相当である。」

と判断しています。

したがいまして、相続で共有となっている不動産については、まずは家事事件手続法に従い、遺産分割調停・審判の手続を進めていく必要があります。


2018年10月24日

この記事の監修者

北村 亮典東京弁護士会所属

慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。東京弁護士会所属、大江・田中・大宅法律事務所パートナー。 現在は、建築・不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理に注力している。

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