Q 夫は仕事が忙しく、毎日家には夜遅く帰ってきて、朝早くに出て行ってしまう。
さらには出張ばかりで外泊も多い。そんな状態がもう何年も続いている。
形だけの結婚生活は続けていけないのでもう離婚したいですが、このような理由での離婚請求は認められるでしょうか。
A 夫婦の同居協力義務違反として離婚請求が認められる可能性があります。
家庭を顧みずに仕事に没頭し、家にほとんど帰って来ない夫との生活に耐えられなくなった妻は、夫と離婚することができるのでしょうか。
夫の立場からすれば
「仕事に打ち込むこと自体は別に悪いことではないはず。」
「家族の生活のために仕事をしているのに、仕事が理由で離婚させられてしまうのか」
という言い分が考えられるところです。
このような場合に妻の離婚の訴えは認められるのでしょうか。
過去の裁判例ですが、夫は出張で外泊が続き、家に帰ってくるのが月に2回程度のときもあり、さらには住民票まで出張先の旅館に移していた、というケースで、裁判所は
たとえ仕事のためとはいえ、余りに多い出張、外泊等妻ら家族を顧みない行動により、妻に対する夫としての同居協力扶助の義務を十分に尽さなかったことにあると断じて妨げない。
と判示して、妻からの離婚請求を認めました(大阪地裁昭和43年6月27日判決のケース)。
上記のケースは、少し極端なケースではありますが、例え仕事が理由であっても夫婦の同居義務を果たせない場合には、離婚が認められる場合もあるということを示した例であると言えます。
2015年11月30日更新
この記事の監修者
北村 亮典東京弁護士会所属
慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。東京弁護士会所属、大江・田中・大宅法律事務所パートナー。 現在は、建築・不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理に注力している。