自筆証書遺言は、法律で定められた方式さえ守れば、どこでも簡単に作成することが出来ます。
紙とペンがあれば作成することが出来るのです。
気軽かつ簡単に作成できる反面、ちょっとしたミス(法律で定められた方式を守れなかった)で無効となってしまうこともあります。
また、その作成にあたって第三者の不当な関与を受けやすい、というリスクもあります。
例えば、認知症で判断能力が衰えている高齢者の方に対して、半ば強引に遺言書を書くよう迫って無理やり書かせたり、場合によっては、他人が手を添えて本人が書いたように装って書かせたり・・・ということも起こり得るのです。
このようなことから、遺言書が「遺言能力を欠く」として裁判で無効とされる事例というのは、自筆所々遺言の場合に多い、というのが実情です。
自筆証書遺言の内容や、その作成当時の状況からして、「遺言者の意思で作成されたのかどうか怪しい」と感じた場合には、「遺言能力」を欠いた状態で、第三者の不当な関与のもとで作成された遺言書の可能性を疑い、無効とするための方策を検討することも必要です。
この記事の監修者
北村 亮典東京弁護士会所属
慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。東京弁護士会所属、大江・田中・大宅法律事務所パートナー。 現在は、建築・不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理に注力している。