弁護士コラム

別居中の配偶者に子どもを連れ去られた場合の対処法

2015.12.01

Q 現在夫とは別居しており、離婚に向けて話し合いをしている最中です。5歳になる子どもは私の家で育てています。

しかし、ある日夫が突然家にやってきて、子どもを連れ去ってしまいました。その後子どもは夫の家で暮らしており、私のもとに返すように言っても全く聞き入れてもらえません。

子どもを私のもとに連れ戻すにはどうしたらいいのでしょうか。

A 家庭裁判所に対して、監護権者の指定、子の引渡しの審判の申立てをして、裁判所から夫に対して子どもの連れ戻しを命じてもらうことになります。

この審判の手続きの流れは以下のとおりです。

裁判所に申立書を提出し受理されてからおおよそ2週間~1ヶ月の間(裁判所の混み具合で多少前後します)に裁判所で審判期日が開かれ、夫、妻が裁判所に出廷します。そこで裁判所の裁判官が妻、夫双方から子どもの連れ去り前後の事情(子どもを連れ去った状況、連れ去り前後の妻、夫のもとでの子どもの養育状況)を聴取します。

必要があれば審判期日の後に追加で双方の言い分を書類で提出します。

その後、日を改めて裁判所もしくは自宅で、家庭裁判所の調査官が、妻、夫それぞれから事情を聴取します。

妻に対しては、主に連れ去られる前の子どもの養育状況を、

夫に対しては主に連れ去った後の子どもの養育状況を聴取し、

双方の養育環境に問題がないかを調べます。

裁判官は、連れ去った状況や調査官からの聴取結果をもとにして、おおよそ1ヶ月以内に審判を下します。

私がこれまでに経験したケースを見る限りでは、審判官は、妻のもとでの子どもの養育状況に特に問題なかったような場合には、「子どもを妻のもとに戻せ」という審判を下す傾向があるようです。

「子どもを妻のもとに戻しなさい。」という審判が出た場合には、夫は妻のもとに子供をもどさなければなりません。

しかし、夫が裁判所の命令に従わず、子供を戻さない場合、強制執行という手続きが必要となります。


2015年11月30日更新

この記事の監修者

北村 亮典東京弁護士会所属

慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。東京弁護士会所属、大江・田中・大宅法律事務所パートナー。 現在は、建築・不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理に注力している。

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