遺留分を算定する方法は、こちらのページで説明しているとおりですが、ごく簡単にいえば
死亡時点の遺産の総額から、被相続人の債務(借金等)を控除した金額
を基礎として、各人の遺留分が算定されます。
ここで問題となるのは、
ある債務(費用)が、被相続人の債務として控除できるものに該当するか否か
ということです。
実務上問題となるのは、遺言執行者が選任されている場合に発生する遺言執行費用(報酬や各種手続にかかる費用)や、相続財産の管理費用(死後発生する遺産不動産の固定資産税等)です。
これらを遺留分算定を算定するにあたって債務として控除できるかという問題が有ります。
この点については、
控除できない
というのが通説です。
理由としては、
① 遺言執行費用については、民法1021条が「遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする。ただし、これによって遺留分を減ずることはできない。」と規定していること
② 相続財産の管理費用については、民法885条2項が相続財産に関する費用は「遺留分権利者が贈与の減殺によって得た財産をもって支弁することを要しない」と規定していること
から導かれます。
2016年2月1日更新
この記事の監修者
北村 亮典東京弁護士会所属
慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。東京弁護士会所属、大江・田中・大宅法律事務所パートナー。 現在は、建築・不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理に注力している。