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遺留分とは?
遺留分は、相続人の最低限の権利を保護するために設けられた制度です。被相続人の遺言や生前贈与によって、特定の相続人が著しく不利益を被ることを防ぐ役割があります。この制度により、一定の範囲の相続人に対して、法定相続分の一定割合が保障されています。
遺留分のポイント
- 被相続人の遺言や生前贈与による不利益から相続人を守る
- 一定範囲の相続人に対して、法定相続分の一定割合を保障する
- 相続における最低限の公平性を確保する
など
遺留分を主張できる相続人
遺留分を主張できるのは、配偶者、子、孫、父母、祖父母などの直系血族です。兄弟姉妹には遺留分の権利はありません。
相続放棄をした場合は、遺留分を主張する権利も失われますので注意が必要です。
対象となる相続人
- 配偶者
- 子
- 父母
- 祖父母
- 子の代襲相続人(孫やひ孫)
注意点
- 兄弟姉妹には遺留分の権利はありません
- 相続放棄をした場合、遺留分を主張する権利も失われます
遺留分の計算方法
遺留分の具体的な額は、以下のように計算されます。
一般的な場合 | 法定相続分の2分の1 |
---|---|
直系尊属のみが相続人の場合 | 法定相続分の3分の1 |
計算の基礎となる財産
- 相続開始時の財産(プラスの財産)
被相続人が相続開始時(死亡時)に所有していた全ての財産が対象となります
預貯金、現金、有価証券、不動産などが含まれます - 生前贈与した財産
相続人に対する贈与:特別受益に該当する場合、相続開始前10年以内の贈与が対象となります。特別受益に該当しない場合、原則として相続開始前1年以内の贈与が対象となります
相続人以外への贈与:原則として相続開始前1年以内の贈与が対象となります。例外として、贈与当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知っていた場合、期間に関わらず対象となります - 相続債務(マイナスの財産)
被相続人の借金や未払い金などの負債は、上記の財産の合計額から差し引かれます
ただし、葬儀費用は差し引くことができません
遺留分侵害額請求の手続き
遺留分が侵害されていると考えられる場合、相続人は「遺留分侵害額請求」を行うことができます。この請求は、相続開始と遺留分侵害の事実を知った時から1年以内、または相続開始から10年以内に行う必要があります。請求は原則として金銭の支払請求で行われ、不動産などの現物の請求は認められません(ただし、2019年7月1日の改正民法の施行より前に発生した相続については、旧法の「遺留分減殺請求」の規定が適用されます。)
請求方法
- 後で請求の事実を証明できるよう「遺留分侵害額請求書」を内容証明郵便で送付することが原則
請求期限
- 相続開始と遺留分侵害の事実を知った時から1年以内
- 相続開始から10年以内
請求の形式
- 原則として金銭での請求
- 不動産などの現物返還は認められない
遺留分をめぐる紛争
遺留分侵害額請求は、しばしば相続人間の深刻な紛争に発展する可能性があります。特に不動産が関係する場合、資産評価の問題をめぐって意見が対立しやすくなります。また、被相続人からの多額の生前贈与などがなされていた場合も遺留分の金額に影響するため紛争に発展しやすい傾向があります。こうしたケースでは、早期に専門家に相談することが重要です。
遺留分に関する問題でお悩みの方は、経験豊富な弁護士にご相談ください。適切な法的アドバイスにより、円満な解決へと導きます。