遺言が有効となるためには

遺言が有効であるための要件として、自筆証書遺言や公正証書遺言などについては、厳格な方式が法律で決められています。この方式が守られていない遺言は無効となります(ここではこの方式については説明はしません。)

この他、遺言書を書く人が遺言を書いた当時「遺言能力」を有していたことが法律上必要です。

この「遺言能力」とは、単純にいえば、遺言の内容をしっかり理解できるだけの知的判断能力です。
したがって、重度の認知症の老人の方が遺した遺言書では、この遺言能力を欠いた状態で書かれたものであるとして、遺言が無効とされるケースが多いです。

また、認知症ではなかったとしても、重篤な病の治療・投薬等の影響で衰弱し、精神状態にも異常が生じていた場合なども、遺言能力がないと判断されることがあります。

遺言能力を欠いた状態で書かれた遺言書の効力を失わせるには

では、このように、「遺言能力」がない状態で書かれた遺言書の効力はどうなるのでしょうか。

結論から言えば、相続人が誰も何も異議を唱えなければ、有効な遺言書として遺言書の内容に従って不動産の名義移転や金融機関の口座解約・払戻しの手続に利用することが可能です。

したがって、遺言書が無効にしたいと考える相続人がいる場合には、当該遺言が「遺言能力」を欠く状態で書かれたものである、ということを調停又は裁判を起こして主張しなければなりません。

この裁判のことを「遺言無効確認訴訟(調停)」といいます。
この裁判(調停)で、遺言が無効であると認められて、初めて遺言書は効力が無くなるのです。